2015年に CakePHP3.0 がリリースされたことは記憶に新しいですが、先日 CakePHP の Core Developer の @mark_story 氏により CakePHP4.0 時代への展望とこれまでの歩みの振り返りがスライドとして公開されていた ので、内容を要約してみたいと思います。
- スライド
- CakePHP - The Road Ahead (SlideShare)
- 4.0 へのロードマップ
- 4.0 Roadmap · cakephp/cakephp Wiki (Github Wiki)
※ 以下の内容は自分が CakePHP を触っていて感じたことを元に補足している内容も含まれますのでニュアンスが異なる部分もあるかもしれません。
2.x – 3.00 アップデートの振り返り
- 3.0.0 はとても大規模で困難なアップデートだった
- PHP7 対応に伴うモダン化
- フレームワークのインストール方法が composer になった
- コアコード・モデル周りの大幅な改修
- 連想配列地獄からの脱却・オブジェクト化
- モデルクラスが Table と Entity クラスに分離された
- 2.x もまだメンテンナンスされている
- CakePHP2.7 で PHP7 にも対応した
現行版の 3.2.x – 3.3.x について
- getter / setter 分離のため移行中の段階 (詳細は後述)
- Middleware 対応 (PSR-7互換)
- Request / Response の構築処理に任意の処理を挟み込める
- PSR-7 対応に伴う Request & Response オブジェクトの不変化
- with から始まるメソッド名のメソッドは新しいインスタンスを返す
<?php // $response オブジェクトの内容は変わらない $response->withHeader('X-yes', 'yes'); // 戻り値に変更が反映された状態で clone instance が返ってくるので // もし変更したい場合は代入する。 $response = $response->withHeader('X-yes', 'yes');
3.5 で提供される新機能
- 新しいミドルウェアの提供
- CSRF
- Cookies
- Authentication
- ルーティング設定とミドルウェアの紐付けが可能に
3.6 について
- 4.0 リリースに向けたバージョンになる
- 3.6 未満と下位互換性は保たれる
4.0 はどんな感じになる?
- ベースはあくまで 3.x のまま
- PHP7.1 以上の環境が必須に ( ! )
- PHP5 系の切り捨てに伴いコアコードにも 型宣言 (タイプヒンティング) が使用されるようになる
- 全ての非推奨メソッドの削除
- getter と setter の両方を兼ねたメソッドも削除される
進められている getter / setter 分離対応について
より簡単なインターフェースにしてコードの複雑さを軽減することが目的。
これまで:
- Entity::errors()
これから:
- Entity::getErrors()
- Entity::setErrors()
リリース予定日は?
まだ未定だが 2017年末 〜 2018年初頭になりそう。
所感
CakePHP3 はかなり大掛かりなアップデートでしたが、CakePHP4 は PHP7.1 以上が要求されること以外は比較的シンプルなアップデートになるのではないでしょうか。
近年のモダン PHP の流れを汲みつつ堅実に進化していっているなという印象を受けました。
最近の PHP フレームワークのトレンドを見ていると Laravel に押され気味な感はありますが、CakePHP も古株のフレームワークとして安心感のあるフレームワークであることは今後も変わらないと思います。がんばれ CakePHP。